〜神話・歴史・大自然の息吹をめぐる物語〜
第1部 神話編:暗闇から始まる命の記憶
第9回:火と水の対峙〜大地を生かすための許し〜
ALOHA! Ka Hōkūlani HULA STUDIOのMotoeです。
深い闇の森を抜け、数々の試練を越えて、ついにカウアイ島からロヒアウを連れ帰ったヒイアカ。
しかし、荒ぶる神々との戦いに足止めされ、彼女がハワイ島へ帰り着いたのは、ペレと交わした約束の期限を過ぎてからのことでした。
ハレマウマウ火口で待つペレの胸の奥には、真っ赤な疑念の炎が狂おしく渦巻いていました。ヒイアカは私を裏切り、道中でロヒアウと結ばれたに違いない。ペレの心に、嫉妬の炎が激しく燃え上がります。
ヒイアカが愛してやまないプナの美しい森を容赦なく焼き尽くし、最愛の親友であり、フラの師でもあるホーポエまでも、冷たい黒い石へと変えてしまいました。
故郷の惨状を目の当たりにし、愛する友を奪われたヒイアカに、悲しみと激しい怒りが一気に湧き上がります。
火口の縁に立った彼女は、ロヒアウをきつく抱きしめます。その姿に、ペレの炎はふたたび燃え上がりました。その炎はロヒアウの命を、容赦なく焼き尽くしてしまいます。
すべてを失ったヒイアカは、ついにペレとの対峙を決意します。
火口の底へと飛び降りた彼女は、その怒りのまま大地を強く踏み鳴らしました。キラウエアの分厚い岩盤が、次々と打ち砕かれていきます。
何層もの岩盤を踏み砕き、ついにヒイアカは、膨大な水を封じ込めた最後の岩盤へと辿り着きます。
この岩盤を踏み抜き、冷たい水が解き放たれ、燃え盛るマグマとぶつかると、ハワイ島そのものを揺るがすほどの大いなる破滅が訪れてしまいます。
その先に待つ結末を、ヒイアカも理解していました。それでも彼女は、最後の岩盤の前まで歩みを止めませんでした。
ついに最後の岩盤を踏み抜こうとした、まさにその瞬間。ヒイアカは振り上げた足を、静かに下ろしました。
ここで岩を踏み砕けば、ペレを葬れる。この激しい怒りも少しは晴れるかもしれない。けれど、それは同時に、愛したこのアイナ(大地)を、跡形もなく海の底へ沈めることでもありました。
ヒイアカは、深い悲しみと痛みを抱えたまま怒りを鎮め、ハワイと姉ペレを生かす道を選びました。
Me ke aloha pumehana,
Motoe

次回、神話編の最終回。神々の激しい時代から、やがて人間の営みへと移りゆく命のバトンを見つめます。
