アロハの奥にあるもの役割に疲れた「私」を癒す――ハワイの叡智と動く瞑想
「家族もいるし、職場にも仲間がいる。なのに、なぜか孤独を感じる」 「私がいなくても、誰も困らないのではないか」 一生懸命に自分の役割を果たしているはずなのに、ふと胸の奥にそんな隙間風が吹くことはありませんか? 本書の第十五章では、フラが持つ最大の贈り物である「大人の孤独への処方箋」についてお話しします 。
フラの教室(ハーラウ)に入って、誰もが最初に戸惑うのが「掃除」の時間です 。月謝を払っている「お客様」のはずなのに、なぜ自分たちで床を磨くのでしょうか? それは、フラの教室が「サービスを提供する場所」ではなく、「共に生きる家族(オハナ)の空間」だからです 。自ら雑巾を手にして床を拭きはじめた瞬間、あなたは外側のお客様から、確かなオハナの一員へと変わります 。この小さな奉仕は、ハワイ語でKuleana(クレアナ=誇るべき役割・責任)と呼ばれます 。
孤独をやわらげる本当の鍵は、SNSの「いいね」の数や、人と会う回数ではありません。「自分が、誰かの役に立っている」という確かな実感です 。 誰よりも早く来て窓を開ける。困っている仲間にハンカチを渡す。そんな小さなクレアナを自ら見つけて担ったとき、仲間の「ありがとう」という笑顔が返ってきます 。その瞬間、脳内には絆のホルモン(オキシトシン)や達成感のホルモン(ドーパミン)があふれ、胸の奥の孤独がじんわりと溶けていくのです(これをヘルパーズ・ハイと呼びます)。
現代の消費社会では「何ができるか」という能力ばかりで評価されがちですが、ハーラウでは「何を、心を込めてしてくれたか」が何よりも大切にされます 。「私がやります」というその小さな一言が、あなたを「かけがえのない一人」へと変え、揺るぎない居場所を作ってくれるのです 。

