〜神話・歴史・大自然の息吹をめぐる物語〜
第1部 神話編:暗闇から始まる命の記憶
第3回:大地の躍動〜太陽を捕まえた英雄と人間の営み〜
ALOHA! Ka Hōkūlani HULA STUDIOのMotoeです。
ハワイの神話には、静かに祈りを捧げる物語だけではなく、大自然の巨大な力と真っ直ぐに向き合い、人間の営みを力強く切り拓いていった者たちの記憶も息づいています。
今回は、半神半人の英雄Māui(マウイ)が空を駆ける太陽を捕まえたという壮大な伝承を通して、フラのステップに宿る生命の躍動へと触れていきましょう。
【駆け抜ける太陽と、乾かないカパ】
まだ世界が若かった頃。
空を巡る太陽の歩みは、あまりにも速いものでした。
東から昇ったかと思えば、たちまち西へと駆け抜けていきます。
朝が来ても、すぐに夜が訪れるため、大地は十分な光を受けることができませんでした。
マウイの母であるHina(ヒナ:月の女神)は、樹皮を叩いてKapa(カパ:樹皮布)を作っていました。
けれど、太陽がすぐに沈んでしまうため、布を乾かすことができません。
愛する母の、ため息を見たマウイは、空を急ぐ太陽を捕まえ、その歩みを遅くすることを決意したのです。
【ハレアカラの頂での闘い】
マウイは祖母から授かった強靭な縄を手に、マウイ島にそびえるHaleakalā(ハレアカラ:太陽の家)の頂へと登りました。
そして夜明けを静かに待ちます。
東の空から最初の光が伸びてきた、その瞬間でした。
マウイは縄を力強く投げます。
そこへ伸びてきた太陽の足へ、その縄は見事に絡みついたのです。
驚いた太陽は激しく暴れ狂いました。
けれどマウイは大地を力強く踏みしめ、決して縄を離そうとはしません。
長いせめぎ合いの末、ついに太陽はその力をゆるめました。
そして人々の暮らしのために、空をゆっくりと歩くことを約束したのです。
【人間の営みを支える、力強いステップ】
あたたかな光が長く大地を照らすようになりました。
カパは乾き、植物は育ち、人々の暮らしにも豊かさが広がっていきます。
マウイの物語には、大自然の気まぐれな力にただ怯えるのではなく、自らの足で大地に立ち、生きる道を切り拓いていく人の姿が映し出されています。
Kahiko(カヒコ:古典フラ)を踊るとき、私たちは時に、大地を割るような力強いステップを踏み鳴らします。
その足裏には、ハレアカラの頂で太陽の強大な力に耐え抜いた、マウイの揺るぎない力が宿っています。
ただ優雅に舞うだけではありません。
生きるためのたくましい躍動を、身体の奥底から呼び覚ましていくこと。
それもまた、フラの中に息づくひとつの祈りのかたちです。
裸足で床を踏みしめ、力強く大地を打ち鳴らすとき。
空をゆっくりと渡る太陽のあたたかさと、自らの内に眠る生命のたくましさに耳を澄ませてみてください。

次回は、いよいよハワイ神話の中でも最も深く心を打つ、火の女神ペレの物語へ。
海を渡る過酷な旅路と、姉妹の激しい命のぶつかり合いを紐解いていきます。
Me ke aloha pumehana,
Motoe
