アロハの奥にあるもの 役割に疲れた「私」を癒す――ハワイの叡智と動く瞑想
「リズム感がないから、音楽に合わせられるか不安…」。フラを始める前に、そんな戸惑いの声をよく耳にします 。外側から流れてくる音楽に正しく合わせようとすると、「間違えたらどうしよう」と身体がこわばってしまいますよね 。
でも、ハワイの古典フラ(カヒコ)が教えてくれる真実は、私たちの思い込みをやさしく覆してくれます。踊りの起点は、外側の音楽ではなく、あなた自身の内側にある「呼吸(ハー)」なのです 。 第二章では、心と身体をふわりとゆるめる「呼吸の魔法」について紐解きます 。ハワイにおいて「ハー(呼吸)」は、単なる生理現象ではなく、すべての始まりを表す神聖な生命そのものです 。「アロハ(Aloha)」という言葉も、互いの命である呼吸の存在を認め合うという意味が込められていると言われています 。
カヒコのレッスンの冒頭で行う詠唱(オリ)では、長く息を吐き、お腹の底から声を響かせます 。この「深く息を吐く」行為は、ポリヴェーガル理論などの心理学・神経科学の視点から見ても、迷走神経を刺激し、脳に「ここは安全だよ」という合図を送る強力なスイッチとなります 。 日常の役割で張り詰めていた表情が、呼吸を整えるだけでふわりとやわらかくなり、凍りついていた心が溶けていく 。外側のリズムにうまく合わせられなくても大丈夫です。世界にただひとつの完璧なリズム、それは「あなたの呼吸」なのですから 。
ステップを踏めない日は、ただ呼吸をするだけでいい。そのあたたかなひと息が、あなたを本来の場所へ連れ戻す道しるべとなります 。心が疲れたときこそ読んでいただきたい、呼吸の秘密を本書でぜひ体感してください。

