レッスンで使う楽器『イプヘケ』とは?その音色が持つ意味と歴史

ALOHA! Ka Hōkūlani HULA STUDIOのMotoeです。

私たちのスタジオで古典フラ(カヒコ)のレッスンが始まると、スタジオに深く、そして心地よく響き渡る音があります。 「ドン、ドン、テッテ、ドン…」 それは、ハワイの伝統楽器『イプヘケ』が奏でる、大地の鼓動そのものです。

フラ、特にカヒコを踊る上で欠かすことのできないこの楽器。それは単なるリズムを刻む道具ではありません。古代ハワイアンたちの祈り、歴史、そして魂が宿る、神聖な存在なのです。

今回は、フラの世界への扉を開く鍵ともいえる『イプヘケ』について、その魅力的な歴史と音色が持つ深い意味を紐解いていきましょう。

ひょうたんから作られるイプヘケ
ひょうたんから作られるイプヘケ

イプヘケとは?大地から生まれた神聖な楽器

イプヘケは、その名の通り「イプ(Ipu)」、すなわち日本語で「ひょうたん」から作られたハワイ固有の打楽器です。

  • 名前の由来と形: 「ヘケ(heke)」はハワイ語で「上の」という意味を持ち、大小2つのひょうたんを繋ぎ合わせた形がその名の由来となっています。上がない、1つだけのひょうたんから作られた楽器は「イプ」または「イプヘケ・オレ(’oleは「ない」の意)」と呼ばれ、2つが合わさった形が完全な姿とされています。
  • 役割: 主にフラ・カヒコの伴奏(Ho’opa’a)で使われ、オリ(Oli:詠唱)と共に、踊りのリズムと魂を導きます。時には、踊り手(ʻOlapa)自身が手に持ち、踊りながら演奏することもあります。

その歴史と宿る精神:神話と祈りの器

文字を持たなかった古代ハワイにおいて、イプヘケの音とオリ(詠唱)は、神話や歴史、王への賛歌を後世に伝えるための、いわば「生きた書物」でした。

  • 神聖な儀式の中心に: フラが神々へ平穏を祈り、感謝を捧げる宗教的な儀式であった時代、イプヘケはその中心にありました。その音は、神聖な空間を作り出し、人と神、天と地を繋ぐ役割を担っていたのです。
  • 創世神話に登場する象徴: ハワイの創世神話『クムリポ』の中では、イプは人々を護る象徴として描かれています。単なる楽器ではなく、古くから人々の暮らしと精神世界に深く根付いた、特別な存在だったことがうかがえます。

音色が持つ意味:大地の鼓動と心の声

イプヘケが奏でる音は、シンプルでありながら非常に表情豊かです。その温かく独特な響きは、聴く者に勇気や喜びを与えてくれると言われています。

  • 「ウ(U)」と「テ(Te)」: イプヘケの音は、主に2種類で構成されます。
    • ウ(U): イプヘケの底を床に打ち付けて出す、低く響く音。これは大地の鼓動であり、踊りの基本となるダウンビートです。
    • テ(Te): 指の腹で側面を叩いて出す、高く澄んだ音。物語に彩りを添える、軽やかなリズムです。

この2つの音の組み合わせが、オリの言葉に命を吹き込み、フラの動きに深い意味を与えていきます。

  • ピコ(Piko)への敬意: イプヘケの底の中心にある凹んだ部分は「ピコ」、つまり「おへそ」と呼ばれ、生命の中心として大切に扱われます。そのため、演奏の際にこの部分を叩くことはありません。こうした部分にも、すべてのものにマナ(霊的な力)が宿ると考えるハワイアンの精神性が表れています。

ただの楽器ではない、フラの相棒

イプヘケは、一つひとつが職人の手によって、長い時間と愛情をかけて作られます。ひょうたんを育て、中身をくり抜き、2つを繋ぎ合わせ、磨き上げる…その工程には、フラを踊る前と同じように、祈りが捧げられます。

だからこそ、フラダンサーにとってイプヘケは単なる「楽器」ではなく、共に物語を紡ぐ大切な「相棒」なのです。その音に耳を澄ませば、古代ハワイの風の音、波のささやき、そして神々の声が聞こえてくるかもしれません。

Ka Hōkūlani HULA STUDIOのレッスンでは、このイプヘケの音を大切にしています。 大地と繋がり、自らの内なる声に耳を澄ませる。そんな神聖な時間を、あなたも体験してみませんか?

さあ、心おどる体験へ!まずは、お気軽にお越しください。

当スタジオでは、イプヘケの響きと共に、古典フラの奥深い魅力を肌で感じていただける体験レッスンを随時受け付けております。 動きやすい服装だけでご参加いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

Me ke aloha pumehana, Motoe

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