アロハの奥にあるもの役割に疲れた「私」を癒す――ハワイの叡智と動く瞑想
何か新しいことを始めたとき、果てしなく続くように感じる「基礎練習」に退屈してしまった経験はありませんか? 「同じことの繰り返しでつまらない」「私には向いていないのかも」。フラのレッスンでも、誰もが一度はそんな壁にぶつかります。
しかし本書の第六章では、この「退屈」こそが、フラのもっとも大切な入り口であり、あなたを美しく変化させる静かな扉であることをお伝えします 。
ハワイには「枝は、幹があるからこそ伸びていく」という美しいことばがあります 。フラにおいて、基礎のステップ(ベーシック)をひたすら繰り返す時間は、あなたの身体という「幹」を着実に太らせていくかけがえのない時間です 。すぐに結果を求める現代社会において、私たちは「待つこと」が苦手になっています 。しかし、深い呼吸とともに焦りを手放し、時が満ちるのを穏やかに待つ「アホヌイ(忍耐)」の心こそが、どんな風にも揺るがない精神的なスタミナを育ててくれるのです 。
「右、左、右、左……」単調なステップを繰り返すうち、ある瞬間、ふっと世界が静まり返る「凪」の時間が訪れます 。人からどう見られるかという自意識や、早く上手になりたいという焦りが汗とともに流れ落ち、「いま、動いている自分」だけがそこにある感覚 。これこそが、フラが「動く瞑想」と呼ばれるゆえんです 。
また、練習用のスカート(パウ)は、動きの正確さをまっすぐに映し出すごまかしのきかない「鏡」であり「先生」です 。基礎という揺るぎない「安全基地」を身体の中に築き上げるからこそ、心で感じた愛や悲しみを、言葉を越えて自由に表現できるようになります 。
急いで咲いた花はすぐに散ってしまいますが、時間をかけて育てた幹は一生あなたを支えてくれます 。地道な一歩が愛おしくなる、フラの深い教えに触れてみてください。

